一筋縄では逝かせない★
「…っはーっ!良かったっっ!!みなさんっ、お久しぶりですっっ!」
やたらとハイテンションなキジの挨拶が、辺り一帯に響き渡りました。
「…?」
改めて冷静に辺りを見渡したキジは、何やら様子がおかしいことに気付きました。
「キジさん…どうしたんでしょうかこれは…」
「えぇと…」
目の前には、真ん丸のお腹を抱えて苦しむおじいさんに、気まずそうに無言で固まる4人…
「あのー…」
居たたまれなくなったキジの呼び掛けは、
「桃子…これ…覚えてないか…!?」
男の声に遮られました。
キジはそんなことは意にも介せず、
「ん…?」
男が取り出した写真を覗き込もうと首を伸ばします。
−そんな時。
「わ…若…っ!?」
突然もう一人の男が驚きの声を上げました。
「え…若って…!」
キジは思わず写真から顔を上げ、声を上げた男の方を見ました。
「ちっ…!」
その瞬間。
男は写真を再び大切そうにしまい込むと、地面を強く蹴り、背中を向けて走りだしました。
「若っっ…!待ってください…っ!!」
必死の叫びも男には届きません。
「な…なんだ…!?」
状況がいまいち掴めずに混乱する犬と猿の隣で、
「…あれって…わたしと……」
桃子は一人わなわなと震えながら呟きました。