一筋縄では逝かせない★



「…っはーっ!良かったっっ!!みなさんっ、お久しぶりですっっ!」



やたらとハイテンションなキジの挨拶が、辺り一帯に響き渡りました。



「…?」



改めて冷静に辺りを見渡したキジは、何やら様子がおかしいことに気付きました。



「キジさん…どうしたんでしょうかこれは…」



「えぇと…」



目の前には、真ん丸のお腹を抱えて苦しむおじいさんに、気まずそうに無言で固まる4人…



「あのー…」



居たたまれなくなったキジの呼び掛けは、



「桃子…これ…覚えてないか…!?」



男の声に遮られました。



キジはそんなことは意にも介せず、



「ん…?」



男が取り出した写真を覗き込もうと首を伸ばします。



−そんな時。



「わ…若…っ!?」



突然もう一人の男が驚きの声を上げました。



「え…若って…!」



キジは思わず写真から顔を上げ、声を上げた男の方を見ました。



「ちっ…!」



その瞬間。



男は写真を再び大切そうにしまい込むと、地面を強く蹴り、背中を向けて走りだしました。



「若っっ…!待ってください…っ!!」



必死の叫びも男には届きません。



「な…なんだ…!?」



状況がいまいち掴めずに混乱する犬と猿の隣で、



「…あれって…わたしと……」



桃子は一人わなわなと震えながら呟きました。





< 148 / 525 >

この作品をシェア

pagetop