一筋縄では逝かせない★
「桃子は…俺の妹なんだ…」
しばらく黙っていた男は、ぽつりぽつりと話し始めました。
「…っはぁ!?」
猿はあまりの衝撃にどすん、と尻餅をつきます。
「…んだそれ!?年違いすぎじゃねぇか!!」
「俺と桃子は…もともと3つ違いの兄妹だったんだ…」
「どういうことだそれ!お前が老けてんのか?それともあの女が…」
思いっきり体を乗り出していちいち話を遮りまくる猿を、男から少し距離を取って心配そうな顔で事態を見守っていたもう一人の男が、無言で制しました。
「…っ、悪ぃ…」
猿はばつの悪そうな顔をすると、男に向かって話を続けてくれ、と促しました。
「俺と桃子は喧嘩もするけど仲のいい兄妹だった…だけどある日…」
桃子が突然家を飛び出して、それきり帰ってこなくなった、というのです。
「家出…?」
猿が呟くと、
「そんなんじゃねぇよ!俺たちはその日、二人で遊びに行こう、って約束までしてたんだ…なのに…朝起きたら桃子の姿が…」
「じゃあどうして急に…」
「分からねぇよ…しかも桃子がいなくなってから、俺はなかなか年をとらなくなって…」
「お前今いくつだよ…!?」
「60は超えてると思う…なのに…」
「20歳くらいにしか見えねぇ…」
猿は男の顔を見て、あんぐりと口を開けました。