一筋縄では逝かせない★
「では、あなたは桃子さんが居なくなってから何をしていたんですか?」
「え?」
突然のキジからの質問に思わず男は反応しきれませんでした。
「…俺は桃子を探していた。そりゃ始めはなかなか出れなかったけど」
「ふむ…」
言うなり、キジは腕を組み黙りこみました。
「あの若、鉢巻きと旗はどうしたんですか?」
「あれ?持ってたはずなのに…どうしたっけ?」
「無くしたんですか!?あんな大切な物を!それに、なんですか腰から提げてる物は。ライフル銃では?」
「え?…な、何だこれ!!俺はこんな物知らない!」
男は額に大量の汗をかいて銃を投げ捨てました。
「…若様はもしかしたら二重人格者かもしれません」
「はぁ!!?」
キジの突拍子のない発言に一同は顔を歪ませました。
「何でそうなるんだよ」
馬鹿にしてんのか!?と猿はメンチを切りました。
「皆さんの話によると、鬼ヶ島を襲ったのは桃印の鉢巻きと旗を持った男らしいじゃないですか。それとその銃が何よりも動かぬ証拠です」
一同はじっと銃を見つめました。
「俺は何をしちまったんだ?」
猿は顔を曇らせました。
桃子といい、銃といい、男は頭を抱えてしゃがみこみました。