一筋縄では逝かせない★
「確か…こっちだったような…。」
桃子は自分の記憶を頼りに走り続けました。
すると50メートルほど向こうに、猿と男、そしてお兄ちゃんと名乗る男の姿を見付けたのです。
「っいた!」
桃子は息切れしながらも走る足は遅めません。
「まって!ちょっと、っ待ちなさいよ!」
強気な発言も、必死そうな桃子の顔で消えていきます。
よく見ると男が頭を抱えていて、辛そうに顔を歪めていました。
しかし桃子は構わずにずんずん近づきます。
「教えてよ!…教えなさいよ!」
そんな桃子の目からは、一筋の涙が零れていきました。