一筋縄では逝かせない★
「若は…実際に何年も前におばあさんに会ったことがあるのです…」
突然、それまで黙っていたもう一人の男が口を開きました。
「…えぇ!?」
「若はあの日も…桃子さまの手掛かりを探そうと歩き回っていました…するとそこにおばあさん…いぇ、その頃はもちろん今よりお若かったのですが…」
そこでふと口ごもった男を、みんなは無言で待ちました。
すぐ側では相変わらず二人の言い合いが続き、桃子が心配そうに様子を伺っています。
「はい…えと…偶然現れたおばあさんに、もちろん若は桃子さまのことを尋ねました…けれどもおばあさんは…」
―あぁ、そういえば結構前、道端で倒れてるちっちゃいの見つけたこともあったかもね!あーでももうだいぶたつから死んじゃったんじゃない?わたしは知らないけど―…
「おばあさんは呆然とする若の目の前でそれだけ言うと、どうして助けてくれなかったんだ、と叫ぶ若を残して走り去ってしまったのです…」
「…」
一同はしん、と静まり返っておばあさんの方へ目をやりました。