一筋縄では逝かせない★
「へへっ…」
兄は誰にも気付かれない様小さく笑うと、
「お前等…泣かせる様な事言うんじゃねぇよっ!」
と叫び、ガバッと男と鬼の肩へ腕を回しました。
「…」
身長が足りず、一人残された犬はそっと涙を拭い、自分がブルドッグである事を悔やみました。
ふと、犬が顔を上げると兄と目が合いました。
すると兄はふわりと微笑み、
「―お前の事も忘れてないぜ。さっきの言葉俺のSOULに熱く響いたぜ。行くぞ、仲間だろ?」
ぐっと親指を立てていた手をパーに変え、犬の前に差し出しました。
「おう!」
二人はガッシリと手を握り合いました。
昭和の男か、と思える言葉を恥ずかし気もなく言い合う二人を男と鬼はポカンと見つめました。
「若…」
男の頬にキラリと光るものが伝い落ちました。
「よーし!皆の心が一つになったところで、円陣組みましょうよ!」
鬼が1班を祝福するかの様に言いました。