一筋縄では逝かせない★
「……」
男は鬼の方を見て、動きを止めました。
「どうしたんだよ。円陣組みたくないのか?」
不審に思った兄が男の顔を覗きこみました。
「いえ、そんな事…っ!」
「では。1班が絶対桃を見つけ出すぞー!」
『おー!』
なんとか出来た円陣から、息の合った声が上がりました。
「痛っっ!」
「わぁ!すみません!つい、腕に力が入ってしまいましたっ」
「良いですよ。気合い充分なのはよい事です」
鬼は男に向かってニコリと微笑みました。
「お腹空いてきちゃいました。何か食べていきません?」
「ったく、お前は!さっき散々食べておきながら!!」
犬が鬼をガミガミ叱りつけている後ろで男は、
「(同じ班になれたのは好都合。なんとか手を打たなければ…今までの事が全て水の泡になってしまう)」
とブツブツ怪しい空気を漂わせていました。