一筋縄では逝かせない★
「な…何してんだよ。こんなとこで!」
兄は気付けば隣にいた妹に驚きの声を上げました。
「あのね、これ拾ったから…」
「ハチマキ…」
兄は受け取ったハチマキをじっと見つめ、
「…ありがとう」
とぎこちなく笑いました。
「良かったですね。若」
その隣で男が笑いながら言いました。
「(さっきの妙な視線は一体…)」
兄と楽しげに談笑する男から桃子は目を離しませんでした。
「おい。何をそんな怖い顔して睨み付けてんだ?」
犬とキジがつかつかと歩み寄って来ました。
「あんた達に話があるの…って、あからさまに嫌そうな顔するんじゃないわよ!」
恐る恐る近寄ってきた2匹へ、
「あの男を徹底マークしなさい」
と命令しました。
「はぁ!?恐ろしい女だなお前は!嫉妬深い女は嫌われるぜ」
犬は一歩引いて言いました。
「違うわよ!何か匂うのよね、あいつ…」
桃子はキッと男を睨み付け、兄の隣へ戻り、
「桃子、やっぱりお兄ちゃんと一緒じゃなきゃ嫌!」
と兄の袖口を掴みました。