一筋縄では逝かせない★
「…あいつ、さっきあんなに私が罵ったのに…」
黙々と土を耕す男の子を女の子は目に涙をうっすらと浮かべながら見つめました。
男の子は一人で小さな畑に種を植えていきました。
「―あれは昨日朝食に食べた梅干しの種…あれは昨日昼食後に食べたスイカの種…あれは昨日夕食後に食べた桃の種…あれは…」
女の子は男の子の植えていく種を一つ一つその時の思い出でもあるのか、ゆっくりと唱えていきました。
「ふぅ…」
男の子は額の汗を拭うとキョロキョロと何かを探している様子。
「…あ!じゃあ、行くか!」
男の子が手を伸ばした先には、大口を開いて欠伸をしている乱入女。
「うん!」
横に並び、しっかりと手を繋いで二人は行ってしまいました。