一筋縄では逝かせない★



「何を訳の判らん事を言ってんだ」



「なんだ、起きとったのか」



猿は気だるそうに、ムクリと起き上がりました。



そしてグッと王様の胸ぐらを掴み上げ、



「調子乗るのもいい加減にしとけよ。俺はじいさんの味方だからな」



と小さく呟きました。



「おー、怖い怖い」



王様は心底この状況を楽しんでいます。



王様から手を離した猿はひょいと煎餅をつまみ上げ、



「さっさと行くぞ」



と煎餅をかじりながら歩き始めました。



「え!ちょっ待…ケーキが…ゴホッ」



おじいさんが口にケーキを押し込んでいる横で猿は、



「(礼ぐらいはしてやる)」



と心の中で王様へお礼を言いました。




< 239 / 525 >

この作品をシェア

pagetop