一筋縄では逝かせない★
「おじいさまは…んー…こっちね!」
桃子は再び石に手をかざして右の方を指差しました。
「(また出た…インチキ芝居…)」
犬がケッと悪態をつくと、桃子はその様子に気が付いたようで、
「犬様はー!…将来あたしのお婿さんにな「らねえよ!まだ言わせるか…?」
「なんだか微笑ましいわねー?でもー…そんなことより、おじいさん探さないと、犬の紹介もできないんじゃなくて?小娘!」
おばあさんは桃子に向かってにっこりと笑いかけますが、桃子は逆にしかめっ面で返します。
「しょーがないばばあね。じゃ、行きましょ。」
ったく、と舌打ちしてから桃子は重い足取りで歩き始めました。
「鬼さん、男さん。行きますよ?」
なんだか妙な空気を感じ取ったキジは二人の間に入ります。
瞬間、桃子は一度ふとそちらを向きますが、また前を向いて歩き始めていました。