一筋縄では逝かせない★
「…礼はいらないぞ」
「…!?」
突然の王様の言葉に、猿は驚いて思わず立ち止まりました。
「な…」
「今わしに礼をいったじゃろう?そんなものは必要ないと言っておるのじゃ。」
「どうしてだよ?…っていうかなんで俺の心の中まで見えてんの!?」
「あの箱は…誰が使っても見たいものが見えるとは限らないのじゃ…真実を知りたいと本気で願った者にしか、求めるものは現れてくれないんじゃよ…じゃから…」
「…質問に答えろよ!」
王様はやはり答えようとはせず、言葉を続けました。
「つまり…あの夢は…お前さんの強い意志に反応して現れたもの。わしは箱を渡しただけじゃ、感謝されることはない…」
王様は猿がはっとしてしまうくらい真面目な顔つきで呟きました。
「…っ?」
猿は怪訝に思いましたが、
「…さぁ!まずはどこへ向かうのじゃ?」
次の瞬間には王様は輝くような笑顔を浮かべて、普段と何も変わらない様子に戻っていました。