一筋縄では逝かせない★
そこへ一番に駆けていったのは、男でした。
「…!!」
一瞬、嫌な捩れた様な空気がありました。
「何があった!?」
見ると、兄は顔に汗を滲ませていました。
「俺が、襲った事が関係あるのか…?」
やはり、汗を滲ませながら恐々と聞いてきました。
「…!…判りません…けど、今は追い掛けるしか」
「そうだな」
兄は頷きました。
「あいつはイイ奴だ…」
どちらの事を言っているのか、兄は空へ向けて言いました。
「早くおじいさんを探さなきゃ…って、何してんのよ!」
「お兄ちゃん…」
「そんな顔するなって」
「私もっ」
「お前はその石でじいさん達を見つけてくれ」
「出来ない…っ」
「ほら、ならこの犬っコロ置いてくから」
「…」
桃子はじっとりした目で犬を見ました。