一筋縄では逝かせない★
「じゃあ私も…」
おばあさんは自分が目に入らないよう、体を縮こませて小さく呟きました。
「ばかやろー!お前は来るんだ!なんとか走りってのがあるだろーが。」
そんなおばあさんに兄は暴言を吐きます。
「ちょっとー!それは企業秘密よ!なんで名前まで出すのよ!」
とにかく行かないからね!、とおばあさんはフンっとそっぽを向いて、木にしがみつきました。
「めんどくせーばばあだ。お前なんて始めっから連れてく気なんてねーんだよ!」
「そんなこと言っちゃってー♪私のこと連れてこうとしてたく・せ・に★」
おばあさんは笑いながら指を口元に持っていきます。
「ったく…じゃあ桃子。頼んだぞ。」
「お!っお兄ちゃん!」
「無理じゃない。出来るだろ?お前なら…。」
兄は優しく微笑みました。
「違う…このばばあ…持ってってよ。邪魔よ!」
「…私、どこ行っても邪魔者…?」
おばあさんは1人、ふふっと自嘲的な笑みを見せたのでした。