一筋縄では逝かせない★
ハプニング13



「やばいかもな…。」



「「…は?」」



今の今まで自分の存在を消していた犬がふと、小さく声を出しました。



「あいつ…なんで追い掛けれたんだと思う?」



「あいつって…あのー男の人?」



おばあさんを押さえる力を緩めて桃子が犬の方に視線を揺らしました。



そこで縛られたまま、おばあさんが尋ねます。



「追い掛けれたってどーゆうことよ?」



「突然鬼は走ってったのに、なんでそんなとっさに行動出来たんだと思うって聞いてんだよ。」



犬はみんなの方を見ようともせず、下を向いて言いました。



「それは…「現に俺たちはあんなに気にしてたのに追い掛けれなかったじゃねーか。」



おばあさんと兄はその場の空気に必死についていこうていますが、訳が分からないので立ち尽くすだけです(おばあさんは縛られたままですが…)。



「もしかしたら、男はお兄ちゃんじゃなくて鬼のこと見てたのかも…」



沈んだ空気の中、桃子が出した結論はそれでした。




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