一筋縄では逝かせない★
「こんなに広かったかな…」
鬼は走りながらそう感じました。
走っても走ってもキリのない道のりをそれでも必死に走りました。
「もう誰も居ないんじゃ…」
鬼は自分の想像にゾクリとしました。
孤独感からなのか、
「あの時一緒に…」
段々走る速度は落ちてきていました。
もう悪い想像しか出来ません。
―ざわっ
「…何だ?」
鬼が絶望的になっていると、遥か先に赤や青のうごめくものが。
それを見た鬼は次の瞬間には走り出していました。
「―みんな…っ!」
「みんな!ごめんなさい…っ、…男さん…!」
鬼達の前に男は立ち、無言で鬼の方へ顔を向けました。
「どうしてそんな怖い顔をしているんですか…」
鬼の言葉に男はまったく動きません。