一筋縄では逝かせない★



―昔この鬼ヶ島には男の両親が何かの理由で行っていた。



男はまだ幼かった為祖父母と村へ残った。



が、いつまで経っても両親は帰ってこない。



祖父母も亡くなってしまった。



男は一人になり、ある日例の若の城へ拾われた。



そこで両親は城からの命令で島へ調査へ行ったのだと知った。



それと両親が鬼ヶ島で鬼によって亡くなった事も。



「それで島を…?」



「えぇ、そうです」



俯いた男の表情は判りません。



「そんな俺達は…」



「あの頃とは違うかもしれません。が私にとっては同じ事」



ゴクリと唾を呑み込む音が聞こえました。



「し、城はどうなんだよ!?」



どこからかそんな声が。



「拾ってくれた事には感謝しました。けど…若に罪を背負ってもらう事にしようとしました」



「丁度いいと思ったんです。二重人格だなんて…好都合」



鬼だけが目を見開きました。




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