一筋縄では逝かせない★
「―まったく最近の鬼は…こんな簡単な事も出来なくなってしまったんですか」
意味あり気に喋りながら男は鬼の頭に一歩近づきました。
「何!?」
鬼の頭は金棒を持つ手に強く力を込め、握り直しました。
そして男の前へ歩いていきました。その後ろで、
「行っけぇ!お頭ぁー!!」
と拳を前へ突き出す、さっきの手下の鬼の声が。
「てめぇなんざ、こんな金棒なんかなくたって一握りで潰してやれるところだが。そんな鬼の風上にも置けない真似出来ないからなぁ」
と更に金棒を握る手に力を込め、逆の手で男の胸ぐらを掴みあげました。
「ここは俺達の島だし、ここのしきたりに従ってもらおうか」
「ふっ、待ちくたびれまし…」
「―待て待て待てーぃ!!」
「この聞き慣れた声は…」
皆一斉に川を見ました。