一筋縄では逝かせない★



「―まったく最近の鬼は…こんな簡単な事も出来なくなってしまったんですか」



意味あり気に喋りながら男は鬼の頭に一歩近づきました。



「何!?」



鬼の頭は金棒を持つ手に強く力を込め、握り直しました。



そして男の前へ歩いていきました。その後ろで、



「行っけぇ!お頭ぁー!!」



と拳を前へ突き出す、さっきの手下の鬼の声が。



「てめぇなんざ、こんな金棒なんかなくたって一握りで潰してやれるところだが。そんな鬼の風上にも置けない真似出来ないからなぁ」



と更に金棒を握る手に力を込め、逆の手で男の胸ぐらを掴みあげました。



「ここは俺達の島だし、ここのしきたりに従ってもらおうか」



「ふっ、待ちくたびれまし…」



「―待て待て待てーぃ!!」



「この聞き慣れた声は…」



皆一斉に川を見ました。




< 320 / 525 >

この作品をシェア

pagetop