一筋縄では逝かせない★
「(男が小さい…)」
犬はそう思いました。
「―死んで償うつもりでした」
「だろうな」
兄は見抜いていたかの様に言いました。
「殺してもらえば楽だと思ったんだろ」
「!?…そうです」
男は顔を上げません。
「はあぁ〜…。だからお前は昔から駄目なんだって。詰めが甘いんだよ」
キョトンとした顔で男は兄を見ました。
―ベチンッ
「痛…っ」
でこぴんされた額を今度は撫でました。
「墓参り行くぞ」
「えっ?」
「あるんだろ?墓」
「はい!島の反対側に…」
下っぱの鬼に引率されている間、誰も言葉を交わしませんでした。