一筋縄では逝かせない★
「(お兄ちゃん…かっこいい…)」
桃子はみんながこの空気の重さを見て何も言葉を発しない時これまた余計なことを考えていました。
「じゃあ行きましょ!」
おばあさんが仕切りに入ったその瞬間。
「なんであんたが仕切ってんのよ!?普通はお兄ちゃんでしょ!」
「や。俺めんどいことパスね。」
桃子の必死な優しさも兄によってすぐさま片隅に持っていかれます。
「とりあえず行くんだろーが。」
犬は桃子に一声掛け、少し先にいる最終尾に追い付き歩いていきます。
「ったく。しょうがないわね。」
「ほら。お前も行くぞ。」
桃子が歩きだした後ろから、兄と男もついてきます。
「若…」
「んー?」
兄は今まで何事もなかったかのように穏やかに反応します。
「怒って…ませんか。」
「怒ってるに決まってんだろ、てめ…。この俺をはめやがって。」
兄は素直に答えてからもう一度言葉を続けました。
「でも、俺を騙せたなんて、大したもんだ。」
兄はそう言って綺麗に笑ったのです。