一筋縄では逝かせない★
「これから怒るんですか。」
「さあ。どうかな。」
兄はにっこりと、子供のように笑います。
「もしかしたら、まだ何か企んでるのかもな!」
「若は何か企んでたらもっと妖しい笑い方しますよ。」
「ちげーよ。お前の話。」
男はギクッと肩を強張らせます。
「図星…か。」
「違いますよ。じゃあ、改めて。怒ってないうちに聞いておくとしましょう。」
男はさりげなくその会話から話をそらし、さっきの話に戻そうとしました。
「…で?」
兄は目を細くして口角をあげました。
「二重人格のことは、どう説明するんですか?まさか、話を合わせてもらったとかは、考えられない。」
男は騙していたつもりが騙されていたことを再び思い出し、下を向きます。
「あー…あれね。キジが勝手に言いだしたもんだからこりゃー都合いい、と思って少し、な。利用させてもらった。」
兄は自慢気に語りました。
「(やられた。)」
男は心の中で呟きます。