一筋縄では逝かせない★



「若とはやっぱり違う…か…。」



「なんでお兄ちゃんの名前出すのよ。」



さっきから桃子は若干不機嫌です。



「若のこと、大好きなんですね。若の名前を出すとすぐむきになる…。」



「あんた何なの?そろそろうざいんだけど。」



それでもなお、男が余裕の笑みを浮かべるので桃子は不愉快でなりません。



「若のこと、本当の兄だと、桃子さんは思ってらっしゃるんですか?」



「はあ?!」



「いきなり現れて、兄だと名乗り、ただそれだけで自分の兄だと?」



「あんたさっきからごちゃごちゃ五月蝿いわよ?いい?!たとえお兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなくたって、私がお兄ちゃんって思ってればいいの!」



桃子は大声で男に叫びました。



「ほんの冗談ですよ。」



男がそう言って笑ったのに桃子はますます顔を歪めます。



「あんた何考えてんの?何隠してんの?」



「さあ。では、桃子さんの家族の話を聞くとしましょう。」




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