一筋縄では逝かせない★



「そんな………」



おばあさんは絶句しました。



「すまん、ずっと黙っておって…」



申し訳なさそうに俯くおじいさんに向かって、おばあさんはおろおろしながら言いました。



「で、でも…それって60年近く前のことじゃないの…どうして今…こんな…」



「それは、桃の中では時が止まっていたからでございます、お母さま。」



桃子が礼儀正しくはきはきととんでもないことを言いました。



「“時が止まっていた”って……ど、どういうこと??わたしも年を取ったのね…頭がついて行けないわ…」



おばあさんは激しくうろたえました。




< 35 / 525 >

この作品をシェア

pagetop