一筋縄では逝かせない★



「疲れてるんじゃないですか?」



「そんな事ねぇよ…考え事してただけだ」



たちまち鬼の頭の表情は曇りました。



「なんなら、自分達に話してくれてもいいんですよ。一人で抱え込まなくても…」



鬼達は頭の顔をじっと見つめました。



「―いいや。それは出来ねぇ」



「―…そうですか…」



下っぱの鬼達の表情が苦しいものへと変わっていきました。



それを見て、



「お前達に頼みたい事がある」



と言いました。



「何ですか!?」



鬼達は滅多にない事に目を輝かせました。



「奴を引っ捕らえてこい」



「「はい…!!」」



言うな否や、鬼達は弾かれる様に駆け出していきました。



「はは…可愛いもんだな…。あ゛〜だるい…」



鬼の頭はあぐらを崩し、地面に大の字に寝そべりました。



その体は熱を帯びていました。




< 356 / 525 >

この作品をシェア

pagetop