一筋縄では逝かせない★
「こんな状況想像してなかったって?私が暗ーい顔してるの楽しんで見てようって?」
たちが悪い、と桃子ははき捨てました。
「それと、むなくそ悪いわ。残念だけど、私、小さい頃にあのおじいさんに助けられたの。本当に小さい頃にね。」
だから、と桃子は言葉を続けます。
「思い出なんてあるわけないの。お母さんとの。」
そのとたん後ろの方からガヤガヤ声が聞こえました。
『どこだー?お頭の言い付けだ!すぐに!』
「隠れて!」
桃子は反射的に男を隠れさせました。
「なんでです。」
「私の話はまだ終わってないの。誰を探してるかなんて分かんないけど、この状況じゃ1人しかいないわよね。って、やば。」
鬼たちはもうすぐそばに来ていました。