一筋縄では逝かせない★
「(…。今のは明らかに私が聞いちゃいけないことよね…。)」
しかし、おばあさんの性格上、これをないことになんて出来ません。
「ふふっ。これはもう少し聞いておく必要があるわね。」
おばあさんは小さくつぶやき再び身を潜めました。
「…行くわよ。」
「どこにですか?」
「お兄ちゃんのところよ。」
こちらを見ようともしない桃子に男は疑問を覚えます。
「行ってもいいんですか。」
「ちゃんと見張っとくわよ?」
「私のことを探している奴らがまだうろついてるかもしれないですけど。私を庇ったってことで桃子さんも同罪ですね。」
男はまた、妖しく笑います。
「あんた。喋るわね。」
そんな男に桃子はまだ無反応で堪え続けます。
「今から、お兄ちゃんに。私から、話すから。」
あんたは私の横で見てなさい、と続けました。
男は眼を開きますが、その次には何事もなかったかのように余裕の笑顔を浮かべていました。