一筋縄では逝かせない★
『…話…ですか』
『…はい、至急参られたし、との言伝です』
『誰から…』
『あなたをここへ連れてきた者、と言えば十分かと思われますが』
『あぁ…あの方が…どのようなお話でしょうか…』
『それが、私にも聞かされていないのです…ただ一言、「伝えない訳にはいかない…」と』
『伝えない訳には…』
小さな声で呟きながら、少年は連れてこられた部屋の前で入るのを躊躇っていました。
『では私は…これで』
知らせに来た城の者も姿を消し、少年はごくり、と唾を飲み込みました。
『伝えない訳にはいかない……まさか…まさか』
少年は静かに戸を開きました。