一筋縄では逝かせない★
しばらく、呼吸をするのも苦しいような沈黙が続きました。
『あ…』
その沈黙を破ったのは少年でした。
『あの…教えてくださって…ありがとうございました…っ!両親が…両親の行方が分かっただけで…そのっ…』
『すまない…』
『どうして謝るんですか…あなたは何も悪くないじゃないですか!悪いのは……悪いのは鬼ですよ…っ!』
その瞬間、少年の目からは大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちました。
『どうして…っ…鬼なんかに…殺されなくちゃ…』
気丈に振る舞ってはいても、まだ二十にもならない少年です。
少年はそれから、それまで以上に口数が少なくなりました。
どこか無理に大人になろうとしているような、そんな様子に、周りの者たちはいつも胸を痛めるのでした。