一筋縄では逝かせない★



「ちょっ!あんた…どこ向かうか分かって言ってんの?!」



「いや。」



怒鳴りそうな顔をする桃子を男は言葉で制します。



「でも、少なくともここではないですよね?」



何も言い返せない桃子は黙って男に従うしかありません。



「そうだけど…。」



男には、この少しの沈黙だけで十分でした。



「決定、ですね。」



そして男は静かに歩き始めます。



桃子はじっと唇を噛み、男を睨み付けます。



「(あの2人、何喋ってんのかしら。)」



おばあさんは息を潜めていまだに桃子たちの後をつけていました。



「聞こえない…。」



おばあさんは途方に暮れ、がっくりと肩を落とします。



「(それに、どこに行こうとしてるの…?)」



気分はブルーになる一方です。




< 385 / 525 >

この作品をシェア

pagetop