一筋縄では逝かせない★
「ちょっ!あんた…どこ向かうか分かって言ってんの?!」
「いや。」
怒鳴りそうな顔をする桃子を男は言葉で制します。
「でも、少なくともここではないですよね?」
何も言い返せない桃子は黙って男に従うしかありません。
「そうだけど…。」
男には、この少しの沈黙だけで十分でした。
「決定、ですね。」
そして男は静かに歩き始めます。
桃子はじっと唇を噛み、男を睨み付けます。
「(あの2人、何喋ってんのかしら。)」
おばあさんは息を潜めていまだに桃子たちの後をつけていました。
「聞こえない…。」
おばあさんは途方に暮れ、がっくりと肩を落とします。
「(それに、どこに行こうとしてるの…?)」
気分はブルーになる一方です。