一筋縄では逝かせない★
「こっちにいなかったら恨んでやる。」
「なにか?」
何もないように尋ねてくる男に桃子は舌打ちをお見舞いします。
「…あんたさー。何で私に家族のこと聞いたのよ。あんたからしてみればすごくすごく、辛いことじゃない。」
桃子は地雷を踏まないよう、ゆっくりとソフトに聞きました。
「知ってたからですよ。桃子さんに、家族の記憶がないことを。」
「ふーーーんっ!あっ、そ!」
桃子は無理矢理な微笑みを浮かべますが、額には青筋がうかがえます。
「やっぱりそうゆうこと!!まさかあんたが家族について知りたかったのかな、なんて…。私は考えてなかったわよ?!」
支離滅裂。
桃子は自分が墓穴を掘っているなんて思っていません。
「最低なやつは、どこ見直しても最低ね。」
「でもまさか。本当に桃子さんが私のことについて知っていたなんて。」
驚きですよ、と男は余裕の笑みを魅せてくれます。
「まあね。あんたについてはかなり調べさせてもらったわ。」
そして桃子もまた、男に負けじとにっこり笑うのでした。