一筋縄では逝かせない★
「!?…お前等も寝てたのか?」
「え、そうだけど」
まだいびきが聞こえる中、お頭と兄の間だけ時が止まった様になりました。
「かまうなと言ったよな」
お頭は兄をじっと見ました。
「だから、何もしてないだろ?俺達は寝たいから寝てただけだ」
「屁理屈を言うな!」
「え、じゃあ何?構って欲しかったのか?」
「そんな訳あるか!何でわざわざ俺の近くで寝るんだ」
「熱出した奴を放って行く程、外道じゃないんでね」
兄はフフンと機嫌の良さそうに笑いました。
「あ!そう言えば!」
「何だ!?」
突然上げられた兄の声にお頭は身構えました。
身構えるお頭にお構い無しに兄は距離を縮めていきます。
そして、
「―!?」
「何だ、下がってるな」
兄はついにお頭の目の前にまで歩み寄り、そっとお頭の額に触れました。
「良かったじゃねぇか…」
「やめろ…っ!!」
額に触れられた途端、お頭は兄の手を思い切り叩きました。
「……なっ…」