一筋縄では逝かせない★
「桃子さん、見えましたよ?」
男は向かって右の方を指差してにんまり笑っています。
そこには何やら数人の人影が。
「ちょっと待ってよ。なんか人数多くない?」
そしてその影たちに近付こうとする男をひとまず止めました。
「そうですか?」
「だって。私たちを除いても、犬様に、くそキジに、お兄ちゃんでしょ?あの影…1、2…少なくとも4人以上はいるわよ!」
慌てて喋る桃子にはいつもの余裕が見えません。
「おばあさんが合流したかもしれないじゃないですか。」
「ああ。それは無いわ。だってばばあなら、私たちのすぐ後ろにつけてきてるはずだから。」
桃子はちらっと後ろに視線を投げ、ふっと笑います。
「(ば、ばれてる…)」
そのためおばあさんは今まで以上に身を潜めなければならなくなりました。
「それにしても。何でそんなに慌てているんですか?桃子さんは。」
「当たり前でしょ?あんたを連れてたってことは私も怒られるわけで…」
桃子はやはり、自己中心的でありました。