一筋縄では逝かせない★
「なぁ、急に立ち上がってどうしたんだよ?」
声のする方を見ると兄がお頭の鬼柄のパンツの裾を掴みながら見上げていました。
「まぁ、見てろ」
お頭はそれを一蹴し、木陰を見ました。
「―そこに居るのは判ってるんだ。出てきたらどうだ」
「え、ちょ、お頭!?何を突然…」
「ふっ、犯人は現場に戻るってな」
「は?(現場?)」
相変わらず、お頭は何も無い木陰を見つめたままです。
理解出来ずに鬼達も木陰を見ました。
「―?…それってもしかして」
「えぇ、もしかするかもしれません」
今まで黙ってたけど実は居た犬とキジがようやく言葉を口にしました。
「(軽く忘れてたけど)もしかして始めに“も”が付いて最後に“こ”が付く奴だったりしたら良いな…」
兄も木陰を見ました。