一筋縄では逝かせない★
「なんか…悪いですね。そこまで考えてもらっちゃって。」
男はふんわりと柔らかい笑みをうかべながら言葉を続けます。
「でも。そんな簡単にあなたの言うことを信じる訳にはいきません。」
「(なーんか難しくなってきた…)」
お頭と男以外はみんな頭をフル回転させて、なんとか会話についていこうとします。
「信じれない、というのか。」
「ええ。でも寂しくはないですよ。だって私は。生まれたときから独りなんですから。」
そして今度は勝ち誇ったように笑いました。
「あと…。私の望みを聞いてくれるのであれば、あの草むらの後ろの方たちをこの場に連れてきてください。そうしたら私は話しましょう。」
「え…?」
素晴らしい観察力。
「だれ…だ?」
お頭は子分の鬼に見ろ、と合図を送ります。
そして、1人の鬼は草むらにゆっくりと近づいていきました。