一筋縄では逝かせない★
「ちょっと船長さんの話は後回しだ。ごめんな?」
兄は船長にこっちの話をさせてくれ、と制します。
「このばばあがどいつだ、ってのは分かった。じゃあ男を出そうとする理由をそろそろ教えてくれんだろ?」
「お兄ちゃん!」
「ん?」
兄は桃子の方にふと視線を揺らします。
「なんで、そんなにこの男のこと庇ってんの?こいつがしたことお兄ちゃんだって許せてないんでしょ?」
「そうだなあー…。いちようずっと一緒にいたんだし。全部知ってから追い出すことだってできるしな。」
「(追い出す気なんてないくせに…。)」
桃子は兄に不満そうな顔をしますが兄は一向に、お頭から視線を外しません。
「こいつは…。」
お頭は小さく話しはじめました。