一筋縄では逝かせない★
『やっべ…。』
お頭は無我夢中でその場を離れましたが、隣にいた小さい鬼は、そのまま男に殺されてしまったのです。
「それが…俺のたった1人の家族だった。」
お頭は話し終えてから、頭を抱え込みました。
「ひっでー話。最悪だぞ。お前。」
兄は男に呟きます。
「ええ。分かっていますよ。でもこれは当たり前の罰だ。私の両親だって、鬼に殺されたんですから。」
「それと、お前も最悪だ。」
兄は続けてお頭にも呟きます。
「私情を挟んで権力振り回すとはな。…おまえら。これじゃあ何も解決にならないって分かんなかったのかよ。」
兄は呆れながら肩を落とします。
「でも…気持ちは分かるよ。俺だって、ずっと探し続けてきたんだ。」
暗い雰囲気の中、畑おばあさんだけが困惑した表情を浮かべていました。