一筋縄では逝かせない★



「…ちょっとごめんなさい…」



緊迫した空気の中、畑おばあさんが小さく口を開きました。



「あの…あなたの両親は…鬼に…?」



問い掛けられた男は、



「……そうですが」



畑おばあさんの方を向こうともせずに、ぶっきらぼうに答えました。



「その時…あなたはどこに…?」



なんでそんなことを聞く?とでも言いたそうに、男は顔をしかめます。



「…家にいました……後で知りましたが…両親は鬼ヶ島に調査に行っていたと…」



やけに素直に答えるんだな、と犬が呟きました。



「あなた……あなたもしかして…」



そう言うと、畑おばあさんは突然ぽろぽろと涙を流し始めました。




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