一筋縄では逝かせない★
「私の…親は死んでいますよね?」
男はまだ、状況がつかめない様子で視線を泳がせています。
「それが、生きていたんじゃよ。」
王様はしっかりと真実を男に伝えました。
「有り得ないだろ。だったらなんで…私は若の城に連れてこられたのですか?」
「記憶がなかったから。」
畑おばあさんは立ち上がり、グッと唇を噛み締めて言いました。
「私、襲われて一瞬記憶がなくなっていたの。今も、その時の記憶はないわ。」
「だから私を迎えにこれなかった、と?」
男は今までとは違い、呆れたようなイラつきを見せました。
「だったらなおさらだ。私があなたの息子だという証拠はないじゃないですか。何を今更。」
その通り。
畑おばあさんは何も言えません。
「それは…。」
何も言えなくなった畑おばあさんを助けるように、王様は小さく話しはじめました。