一筋縄では逝かせない★



「こいつ…今ごろ何見てんだろうな。」



犬は船長に、



「ちょっくら行ってくる!」



と持たされた桃に噛り付きながら呟きます。



「あんたねえ。真面目な話するなら態度、気を付けなさいよ。」



「桃もらえなかったからって嘆いてんじゃねえぞくそばばあ。」



「あの…」



おばあさんと犬がつまらない会話をしているとき。



畑おばあさんが王様に心配そうに声をかけます。



「どういうことでしょうか…。もう、何が何だか…。」



その姿は弱く、儚いものでした。



「大丈夫じゃ。この船長さんが全てを見てきてくれる。それから理解したって十分な時間はあるはずじゃ。」



王様は畑おばあさんを安心させるように答えました。



「ちょっと待ってよ。あいつ、信用出来るの?あいつが見てきたことで何か決まる、って言ってるようなもんじゃない!ほんとはあいつが黒幕でした、なんて展開だけは避けたいんだけど。」



「だーいじょうぶじゃあ☆」



王様は親指をグッと立てて、桃子に見せ付けます。



「…だったらせめて漢字でかきなさいよ…。」



群衆の不安は増すばかりのようです。




< 442 / 525 >

この作品をシェア

pagetop