一筋縄では逝かせない★
「こいつ…今ごろ何見てんだろうな。」
犬は船長に、
「ちょっくら行ってくる!」
と持たされた桃に噛り付きながら呟きます。
「あんたねえ。真面目な話するなら態度、気を付けなさいよ。」
「桃もらえなかったからって嘆いてんじゃねえぞくそばばあ。」
「あの…」
おばあさんと犬がつまらない会話をしているとき。
畑おばあさんが王様に心配そうに声をかけます。
「どういうことでしょうか…。もう、何が何だか…。」
その姿は弱く、儚いものでした。
「大丈夫じゃ。この船長さんが全てを見てきてくれる。それから理解したって十分な時間はあるはずじゃ。」
王様は畑おばあさんを安心させるように答えました。
「ちょっと待ってよ。あいつ、信用出来るの?あいつが見てきたことで何か決まる、って言ってるようなもんじゃない!ほんとはあいつが黒幕でした、なんて展開だけは避けたいんだけど。」
「だーいじょうぶじゃあ☆」
王様は親指をグッと立てて、桃子に見せ付けます。
「…だったらせめて漢字でかきなさいよ…。」
群衆の不安は増すばかりのようです。