一筋縄では逝かせない★



「…っ」



おじいさんは突然、苦しそうに呻いたと思うと、



「…あ!桃ーっ!!」



齧りついていた犬を無理矢理振り落とし、桃を奪い取りました。



そして、



「…っがー!」



これでもか、というほど口を大きく開き、桃にかぶり付きました。



「…はぁ!?」



周りで見ていた面々は呆気にとられます。



「やけぐい、じゃぁー!」



もぐもぐと口を動かしながら叫ぶおじいさんに、



「何に自棄になってんのよ!?」



おばあさんが頭を抱えながら尋ねました。



「分かんないのじゃ…けど!わしはばあさんのことを大切に思っとるのに、さっきから王様が畑ばあさんのことを慰めてやっとるのを見ると複雑な気持ちになるのじゃ!」



「?」



一同はすぐには理解できず首を傾げます。



「わしはばあさんを選んだとはいえ…何かもう…畑ばあさんを慰めたりだとか…そういう権利はわしにはないんじゃな、とか思ったら……やりきれない気持ちになるのじゃーっっ!!」



おじいさんはそう言い切るなり再び桃に食らい付きました。




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