一筋縄では逝かせない★
「それと、殿様。彼も一緒だそうです。」
「…そうか…。」
とたんに殿様は寂しそうな目付きになります。
「あいつらは…ずっと一緒だったからな…。無理もない。」
「ですが…。」
男は続けようとした言葉を自ら飲み込みます。
「なんだ?」
「…いえ。」
男が言いたいことは殿様にも分かっています。
しかし殿様もまた、それを口にすることはありませんでした。
「戻ってくるまでお待ちになるつもりですか?」
「…どうだろうな。まあ、どっちにしろ私が決めることではない。」
「ええ。同感です。」
男は殿様に笑いかけます。
「動けるうちはたくさん動いて、楽しんでもらいたいからな。今の私のように…あいつだっていつなるか分からん。」
「殿様…。」
男はぎゅっと拳を握り締めました。