一筋縄では逝かせない★
「親父!」
「何でぃ、出迎えに来たのか?」
「うん!今日は…?」
「おうよ!あちらさん達をちょっくら鬼ヶ島までな」
「鬼ヶ島…」
「城も酷ぇ事しやがる。何も、わざわざ鬼ヶ島なんかに寄越さなくてもいいのによ」
「?」
父親の辛そうな顔を青年はキョトンと眺めていました。
「―俺だ…何でこんな大昔の…まだガキの俺が…?」
そんな二人を一人の男は見つめました。
「親父の野郎、今じゃあんなに頭は寂しいってのによ」
何か、いけない物を見ている気がして船長は声を殺して笑いました。
けど、目は二人を離しません。
「じゃ、行きますか!」
「はいっ」
父親の声に夫婦と思われる二人は勢い良く船に乗り込んで行きました。
「行ってらっしゃい!」
「おう!行ってくる!」
「次は俺も乗せろよ!」
「おうよ、必ずな!」
微笑ましい出迎えに、夫婦も笑顔で手を振りました。
「この口調…親父譲りだったんだな…」
船長はまだ開拓前の自分を見つめました。