一筋縄では逝かせない★



「欠けた…欠けた…。」



王様は鬱陶しいくらいに欠けた、と繰り返し空を見上げています。



「あー、うざっ。」



「桃子。」



放心状態の王様に桃子は罵声を浴びせようとしますが兄に止められました。



「分かったわよ。」



「おい、わんこも怪我ないか?」



「…ああ…。心配ご無用…さ…。」



と言いますが手はしっかりと足を押さえています。



「それにしても…。あんた何見たの?」



「きっとおれらは出会う運命だったんでい。おれもおまえらと繋がりがあった…ってな。」



下を向きながらへらっと船長は笑いますが、桃子はなぜかこれはただの偶然でも、ただの運命でもない気がしてなりません。



「…なんか。寒気する…。」



桃子の言葉に周囲はぴしりと固まります。



どうやらそれを感じていたのは桃子だけではなかったようです。



時を同じくして。



「やだわ…すごい嫌な空気…。王様を早く連れ戻さないと。…もし箱に、何かあったら…」



女神は不安そうに王様同様空を見上げていました。




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