一筋縄では逝かせない★
「…だーかーらー…っ、…きーてる?」
「は?」
女神はそういえば!と足元を見下ろしました。
「お助けしましょうかーって言ってるのに…」
「あんた………カメじゃない…」
カメなんて役に立つかーい!と知らんぷりを決め込もうとする女神に、
「…僕はただのカメじゃないもんね!」
カメは胸を張りました。
「何だっつーのよ…」
「僕の名前はピョートル=チャイコフスキー=ミッシェルボーゲン…はい言ってみて!」
「ピョートル…チャイコフスキー…ミッ……?」
「ほら!ただのカメじゃないでしょ?」
女神は腹立たしそうに言いました。
「名前なんてどうでもいいの!王様がピンチって時に…」
「……はいはい、あの黒い箱のことでしょう?それなら任せてくださいよ☆」
カメは女神の言葉を遮るように明るく言い、なぜそれを…と驚きの表情を浮かべる女神に背を向けて、
「…んじゃ、ちょっと出かけて参りまーす!」
女神があんなに苦労しても出られなかった池の向こうに広がる森へと、歩み始めたのでした。