一筋縄では逝かせない★



吐き捨てたきり、船長は俯いてしまいました。



と思ったら、キョロキョロと何かを探している様子。



「―あ、お前さん!」



「何かしら…」



畑おばあさんは落ち着き払った様子で船長に答えました。



「あのよ…」



「はい…」



冷静に見えて、組んだ手は震えていました。



「な、なんじゃ?なんなんじゃ!?」



「落ち着け…」



バタバタと砂埃をたてながら暴れるおじいさんを兄は宥めます。



「…いや、なんでもねぇや…」



「…え?」



身構えていた畑おばあさんは船長の言葉に拍子抜けです。



「王様とやら、もう一度箱を貸してくれねぇか?」



まだ、欠けた、欠けたと連呼する王様に船長は話し掛けました。



じろりと王様は船長を見つめます。



「判ってるって!大事に扱うからよ!」



お願いと顔の前で手を合わせます。



「仕方ないのぉ…」



王様は手の中にある箱を見ます。



「ほれ、見た分だけこいつは何かを返してくれる。大事にするんじゃぞ」



王様はじっと箱の行方を見つめました。




< 455 / 525 >

この作品をシェア

pagetop