一筋縄では逝かせない★
吐き捨てたきり、船長は俯いてしまいました。
と思ったら、キョロキョロと何かを探している様子。
「―あ、お前さん!」
「何かしら…」
畑おばあさんは落ち着き払った様子で船長に答えました。
「あのよ…」
「はい…」
冷静に見えて、組んだ手は震えていました。
「な、なんじゃ?なんなんじゃ!?」
「落ち着け…」
バタバタと砂埃をたてながら暴れるおじいさんを兄は宥めます。
「…いや、なんでもねぇや…」
「…え?」
身構えていた畑おばあさんは船長の言葉に拍子抜けです。
「王様とやら、もう一度箱を貸してくれねぇか?」
まだ、欠けた、欠けたと連呼する王様に船長は話し掛けました。
じろりと王様は船長を見つめます。
「判ってるって!大事に扱うからよ!」
お願いと顔の前で手を合わせます。
「仕方ないのぉ…」
王様は手の中にある箱を見ます。
「ほれ、見た分だけこいつは何かを返してくれる。大事にするんじゃぞ」
王様はじっと箱の行方を見つめました。