一筋縄では逝かせない★



「…ったくもー、みんな世話が焼けるんだからっ」



てこてことカメにしてはテンポ良く前進するピョートル=チャイコフスキー=ミッシェルボーゲン、略してミッシェルは、自分がおばあさんを王様に会わせたことがそもそもの原因だなどということは、もうすっかり忘れてしまったようです。



「えーっと?…そうだ、黒い箱、黒い箱…」



よっぽど忘れっぽいのか、さっき宣言したばかりの自分の目的まで見失いかけています。



「まぁいいや、ゆっくり行こう」



事態の深刻さを分かっているのかいないのか。



「何か刺激があったほうが、人生面白いし…ねっ」



ミッシェルの呟く言葉は深い深い森の中に吸い込まれていきました。




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