一筋縄では逝かせない★
殿様はそう呟いて、ゆっくりと話し始めました。
男が今、兄と一緒に鬼ヶ島にいるということ。
男のお母さんも合流していること。
…謝りたい、ということ。
船長が知っていることから知らないことまで。
全て…。
「…ッ。そんなことも、あったな。」
「…お前はまたどうして?その様子じゃ自分も鬼ヶ島に用事があるんだろ?」
殿様の言葉に船長は言いづらそうに目を伏せます。
「ちょっとした噂だが、おれの息子も、鬼ヶ島にいるらしい…。」
殿様は一瞬目を見開きましたがすぐにいつもの調子に戻りました。
「迎えに、いくのか。」
殿様の問いに船長は小さく頷きます。
「あいつもいつ知っちまうかわかんねえからな。」
「そうだな。」
その様子を男は何も言えずに見ていました。