一筋縄では逝かせない★
「…箱を返すんじゃ」
王様はヒョイと船長から箱を拐いました。
その顔に表情は窺えません。
「…運命だってよ、これが俺の運命か。お前さんに会ったのも運命だって言うのかぃ」
船長は王様を見ました。
そして力なく笑いました。
「箱を再びかぶったからには、それ程の覚悟があったんじゃろうと思っとったんだがのぉ…」
王様は箱をいじくりながら呟きました。
「これはここにあるべき物じゃないのぉ…」
呟きは自分に言い聞かせている様に聞こえました。
「あ〜ぁ、勝手に備品持ち出しちゃったよ…思うに、ワシはあの城の王様のはずなのに他の奴等、最近偉そうじゃなかった?あ、何か苛ついてきた…」
フツフツと沸き上がる苛立ちに、箱の蓋を閉める手は荒々しくなっていきます。
「…きっと帰ったらおやつ抜きだろうなぁ〜、それは嫌だな…どうしようかのぉ」
新しい難関に王様の思考はコロコロ変わります。
「何をブツブツ言ってるんですか、それは困ります…」
王様に何者かの声が降ってきました。