一筋縄では逝かせない★
「そいえば…。今の状況、お前は知っていたのか?」
殿様は船長に聞きます。
「俺の息子が鬼ヶ島に行っているという噂を聞いただけでい。」
「そうか…。」
船長はあまり気にしていないような言い方をしていますが殿様には気になってなりません。
「(誰が…そんな噂を流したんだ…。)」
噂といえどそれは事実。
鬼ヶ島にいた人間しか流せないものです。
「(それに我々もなぜこんなに知っているのだ…?それになぜいきなり動きだしたのだ?船長と会ったのは…偶然…か?)」
自分たちがどうしてここまであの離れた鬼ヶ島について知っているのだろう…。
殿様は自分のことさえも把握出来ていないこの状況にひどい悪寒を感じました。
「おい。」
「何でしょう…?」
船長と男が喋っているのをじっと見つめ、殿様は小さくため息をつきます。
そのため、男のカバンから少し覗いていた“黒い箱”を見逃してしまったのでした。