一筋縄では逝かせない★
「よっと。じゃあ行くか。」
船長は船を止め、先に降りた2人の元へ向かいます。
「あんたが先頭切ってくれよ。俺とこいつじゃ今度いつこの島から出られるか分かんねぇ。」
そう言って船長は、隣にいる殿様を指差しました。
「…最もだ。」
殿様は一呼吸おいて男を見ます。
「…分かりました。」
男はその視線に何を感じたか、何も言わずに歩き出しました。
「それにしても本当に木ばっかだな…。この中から俺の息子たちを探せるっていうのかい?お前さんは。」
「大体の目星はついてるって言ったじゃないですか。」
男は淡々と船長の質問に答えます。
「なあ?お前ってこの島詳しいのか?」
その質問に殿様はぱっと顔を上げます。
自分も聞きたかったこと…
殿様は動揺していないように振る舞おうと足に力を入れました。
「そんなに質問ばかりしないで下さいよ。」
「(…軽く流された…?)」
殿様は考え込みますが男はお構いなしです。
「もうすぐですよ。」
やっぱりこの男、タダ者ではなさそうです。